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茹でシャコの思い出

それは、私がまだ小学生低学年の頃の話だ。
 
昭和50年代。
そう裕福な時代ではなかったが、暗い雰囲気は、私の周りの近所にはなかったような気がする。
私の家にもお金は無かったが、
学校が終わると、日が暮れるまで草野球をして、ご馳走と言えばザンギが定番という、ごく普通の小学生とその家族だったと思う。
 
その頃、初めて食べた料理が父の買ってきた”茹でシャコ”だ。
 

私の父は小樽出身で、今でも生まれ育った小樽の街が好きだと言っている。
そんなこともあって、
今の今まで、その茹でシャコは、小樽産だったと思い込んでいたが、もしかしたら石狩産だったかもしれない。
  
シャコ漁は、小樽から浜益までの石狩湾で行われる。
春漁と秋漁があり、子持ちは春漁が良いとされている。
そのことを知ると、
あの頃、年に一度か二度しか食べられなかったのも合点がいく。
 
父の買ってきた”茹でシャコ”は新聞紙に包まれていて、ほんのりと温かかった。
今でこそ、むいたシャコが冷凍で流通されているが、その当時は、殻付きの茹でたてが当たり前だったのだろう。
  
私は、その茹でたてのまだ温かさが指に残るシャコが好きだった。
新聞紙を広げると、茹でシャコがガサガサと音を立てて、新聞紙一杯に広がってゆく。
随分と、山盛りにあったような記憶がある。
それを家族みんなで、殻を剥きながら食べる。
その賑やかな感じが、お祭りみたいで好きだったのだろう。
 
どんな会話をしたかは、憶えていない。
その時のシャコの味も、よく憶えていない。
ただ、美味しかった記憶があったので、大人になってから冷凍のむきシャコを食べた時は、
「あれ?こんな味だったかな?」とがっかりしたことがあるぐらいだ。

私も大人になり、父も母も年老いてゆく・・・。
もう一度、食べたいと心から思う。
茹でたてのシャコの味。
・・・なんて。
 
さて、
これからが、本当の茹でシャコの思い出。
これも小学生の頃の話だ。

父の姉の誕生日のお祝いの会で、私と父が小樽を訪れた時の事。
親戚の家で私は、非常に歓迎された。
歓迎の印として、サイダーが出されて、「さあ飲みなさい」と、コップが空になることがないほど、注がれ続けた。
甘いサイダーをお腹いっぱい飲む機会など、私の家ではないことなので、とても嬉しかった。
 
やがて、二階に親戚数十名が集まり、宴が始まった。
テーブルの上には、お寿司が並んでいる。
「食べたいお寿司があったら言ってね」
親戚のおばさんの優しい言葉に、
私は、シャコを頼もうと思ったが、シャコの名前がなかなか出て来ない。
(あれ、何て名前だったかなあ?)
私は、形態が似ていると思ったので、とりあえず「えび」と答えたのだった。
当然、私のお皿に盛られたのは、食べたかったシャコではなく、
尻尾のついた甘えびだった。
 
(まあ、いいか・・・)
そんなあきらめの思いで、私は甘えびを食べることになった訳だが、
大人達が食べるのを真似て、寿司を口にサッと、放り込んだ後に、尻尾を取りたいと思った。
尻尾を先に取ってから食べるのは、小学生の私にも子供っぽい食べ方のような気がしたのだ。
 
私は、勢い良く寿司を放り込んだ!
サッ!パクッ!
しかし、違和感と喉つまりが・・・。
うっ!
ま、まずい・・・。
尻尾の方から放り込んでしまった!
尻尾を取り除かないと・・・。
ウグググググ・・・ッ。
苦しい~。
の、喉つまりが・・・。
私は、口に指を突っ込み、尻尾を探した。
次第に青ざめてゆく顔色。
気分が悪くなってきた。
うっ!
ゲロゲロゲロゲロゲロゲロ~。
 
さっきまで飲みまくっていたサイダーとともに、辺りは大惨事に・・・。
切ないような父の表情が浮かぶ。
部屋に広がるどんよりとした空気を感じる・・・。
 
「ごめんね。おばさんの誕生日の楽しい時を台無しにして・・・」
そんな思いで、私は、シクシクと泣いたのだった。
 
それが、私の茹でシャコの思い出だ。

コメント: 5

KAZU! 2008年10月 7日 08:32

松紫さん!お早う御座います!お早う御座います!
そうですか!茹でシャコですか!私も昔、小樽の友人の家で晩飯をご馳走になった時でした!大きな鍋に山盛りの茹でシャコ!それもオスメス込みで大小込み、お母さんが好きなだけ食べなさいと取り皿とハサミを置いてその傍には玉子焼、甘蛯、帆立、ほっけ等所狭しと大きな飯台の上に並び目でお腹が一杯になった記憶が在ります!又、貧しくても、ギスギスしていなかった様に思います!本当に、茹でシャコ腹一杯食べたいですね!今度行きましょう!

こまっ茶 2008年10月 8日 10:04

記事は書いていないこまっ茶です。
もう20年ほど前ですが小樽にある「魚真」(うおまさ)というお店に初めて行った際、
お通しで殻付しゃこが1皿山になって出てきて眼が点になったことがありました。
一緒に殻を切るはさみもついてきました。
私も小樽の店舗に22年前に初めて1人で配属された時、殻付しゃこが入荷してきて
パートさんにオスメスの区別の仕方教えてもらって販売した記憶もあります。
ちなみにこの「魚真」は今ではすっかり人気店になっています。
昨年のゑびすでも紹介していますが安くて美味しいお店です。

たじやん 2008年10月 9日 12:57

こんにちは。松紫さん!
今回のシリアスなタッチでつづる苦い思い出話もまたいいですね!(さすがすばらしい文才ですね^^)
それにしても小樽出身のお父様が買ってきてくれた茹でシャコは想像するだけでもおいしそうです。
私はあまりおいしいシャコを食べたことがなく、そんなに好きな方ではなかったですがこの記事を読んで急にシャコが食べたくなりました^^

松紫 2008年10月10日 09:14

たじやん、ごめんなさい。
コメントの返信の方法が変わり、遅れてしまいました・・・。
思い起こしてみると、魚に関する思い出が幾つかあります。
潰れそうな食堂の自家製〆さば定食とか・・・(もう潰れてしまいましたが・・・残念)。
また、機会がれば、紹介したいと思います。
では。

松紫 2008年10月10日 09:27

KAZU!さん、ごめんなさい・・・。
ブログの引越しに伴い、コメントの方法が変わり、返信が遅れてしまいました。
それにしても、
やはり、茹でシャコは大皿でしたか。
思い出を共有出来るって、なんだか嬉しいですね。
茹でシャコを腹一杯食べるって、今ではすっかり贅沢ですね~。
では。


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