生活協同組合コープさっぽろで、安心生活はじめましょう。

ホーム > 個室「銀杏の間にて」 > 個室『銀杏の間』にて ~第六話~

個室『銀杏の間』にて ~第六話~

そろそろ秋が訪れたんだなぁ、と感じるのは、

夕暮れから夜へ変わろうとする僅かな時間にだけ漂う、あの空気の匂いだ。

どういう匂いかは、言葉では表現できない。

私の鼻先をくすぐるようにして、その匂いはスーッと、通り過ぎてゆく。

今年は、都会の隠れ家的な一室、『割烹ゑびす』へと向かう遊歩道で、

その匂いを嗅いだ。

・・・それは、2時間前の出来事。

今、銀杏の間では、私とナナコの間で、熱いバトルが繰り広げられている。

 

熱いバトルではなかった。一方的に、私がマシンガンを浴びているような状態だ。

「女性と会う時に、花を持ってくるとか、ジャケットのカジュアルな感じの着こなしとか、イギリス男って感じよねー。あなたには、絶対無理!」

「肝心なところで、はっきりしないところが似ているだけじゃない!」

「ヒュー・グラントは、最後に、自分で気づいて、自分で行動したの!そこが偉いのよ!」

「反省した?自分の日頃の行動を!」

「あなたには、この良さが分らないわ!」

 

ナナコの好きな映画、『ノッティングヒルの恋人』の話だ。

ナナコは、何度観ても、いい映画だよねーと、必ず言う。私もそう思う。

ハリウッドの大女優役のジュリア・ロバーツと、

ロンドンのノッティングヒルで旅行専門の本屋をやっている冴えない男役のヒュー・グラントの

ラブストーリーだ。

切なく、甘く、優しさに満ちあふれたコメディタッチのストーリーなので、観終わった後は心地良い気分になる。

エンディングで流れる、エルビス・コステロの”She”がいいのだと、ナナコは言う。

 

「ロマンチックの欠片もないじゃない!あーぁ、あんなプロポーズされてみたいなー」

過去に何度か聞いたことがあるナナコの本音だ、・・・と思う。

私は、打たれ弱いので、食べることへと逃避する。

 

今夜の食事は、秋刀魚づくしだ。

秋の訪れの匂いを感じた日に、秋刀魚を食べる。実に、いい時間だ・・・。

銀色の輝きが美しい。

刺身でも、寿司にしても輝いている。もちろん、定番の焼魚でも、黄金色に輝く。

Photo_13

秋刀魚は、成長しながら北上する。

確か・・・千島列島付近まで北上して、プランクトンをいっぱい食べて、Uターン、南下してくるはずだ。

南下する最初の場所が、根室の沖合。

道東の秋刀魚が、脂がのっていて、太っていて美味しい理由が、そこにある。

三陸地方でも秋刀魚は水揚げされるが、産卵が近い為、脂のりに劣り、身に美味しさがない。

秋刀魚の加工品が、三陸で盛んに行われているのは、そういった訳だ。

北海道の加工技術だって、負けてはいない。

昨今、秋刀魚の刺身は、年中美味しく食べられるようになった。

それだけ冷凍技術が進んでいる、ということだ。

8月~9月に水揚げされた秋刀魚を生から処理、三枚卸、中骨・ハラス骨を除去して、トンネルフリーザーへ。

処理時間が短く、鮮度を維持したまま、冷凍される。

包装容器にも、窒素を入れて、酸素を抜く。酸化による鮮度劣化を防いでいる。

産地では、いつだって、美味しく食べようと、努力が積み重ねられている。

 

私は、小鉢に入っている秋刀魚のなめろうに、敬意を表する。

Dscn1510

なめろうと言えば、鯵のなめろうが有名。千葉県房総地方の漁師料理だ。

鯵に、葱、生姜、大葉をみじん切りにしたものを味噌で和えたものだ。

味噌と薬味で生臭みが消える。

味噌になったのには、理由がある。

船に乗っている漁師が食べるには、荒い波で醤油はこぼれてしまう。そこで、味噌で代用したという訳だ。

かつお漁師が、かつおはマヨネーズで食べるのが一番美味い!と言っているという話を聞いたことがある。

意外と、同じ理由かもしれない。

皿まで舐めてしまう、その美味しさから、なめろうという名が付いたと言われている。

 

ここにあるのは、その秋刀魚バージョンだ。

・・・では、ひと口。

う~ん。年に何度も体験しない味だ。

小鉢の一品としては申し分ない。いや、それ以上の働きだ!

この感動を漢字一文字で表すとしたら・・・、

”乙”

3mmの幅に切られた秋刀魚フィーレが味噌の間でキラキラと輝く。

生姜、大葉が混じった味噌を程よくまとった秋刀魚を、更に、ひと口。

見事な調和・・・。

お通しでは、くじらの千切りベーコンをゴマ油で和えたものも上等だが、これもいい!

私は堪らず、田酒をクイッとやる。

う~ん・・・乙だね~。

 

秋刀魚と田酒の力を借りて、ナナコへの反論を試みる。

私の好きな映画は、『紅の豚』だ。

「アニメじゃん!」

ナナコが鼻で笑う。

チッ、チッ、チッ!

私は、人さし指を立て、左右に振り、ノーノーのジュスチャーをする。

違うぜ・・・男のダンディズムさ・・・。

 

ペラペラと口数の多い男は、信用ならない。

ひとつでいい・・・真ん中に芯が通っていれば、答えは決してブレることはない・・・。

決断力を迫られるよりも早く、答えは決まっているのさ。

私は迷わない・・・迷いなど、無いぜ・・・。

日本酒にも酔っていたが、自分の台詞にも酔っていた。

ナナコの冷ややかな視線にも気づかず・・・。

 

私の視線の先には、秋刀魚づくしの寿司。

Photo_32

生秋刀魚の握り!炙り!軍艦!酢〆!なめろう!

これが、旬ってヤツだ。

この時期にしか味わうことの出来ないスペシャル感が、そこにある!

好きなものから食べるなら、生の握り・・・う~ん。

好きなものを最後に残しておくとすると、最初のネタは、炙りからいくか・・・う~ん。

軍艦は、どんな味がするのか、今すぐにでも手が伸びそうだ・・・う~ん。

なめろうを寿司でと考えただけで、ヨダレが出そうだ・・・う~ん。

どれからいく?・・・どうする?

どうするー?

 

「結局、お寿司も選べない優柔不断な口先男じゃない!!!」

ナナコのマシンガンが炎を噴いた!

ダダダダダダダダダダダダダダッ!!!

  

「刺身用さんまフィーレ」は、店舗・トドックで販売しています。

今の時期、店舗では、生のフィーレを使って、お造り、寿司でも提供されています。

トドックは、冷凍の刺身用フィーレをご案内しています。是非、お試し下さい。

Dscn1503

ホーム > 個室「銀杏の間にて」 > 個室『銀杏の間』にて ~第六話~

ブログ内検索
お気に入り・フィード購読
個別バナー
QRコード
携帯でも割烹ゑびす
http://blog.todock.com/mt4i/ebisu/
HELPバナー
共通バナー
Google アドセンス

ページの上部へ